中国で高級ホテルの閉鎖・再編が進行は本当か。景気減速が投資判断に影
中国の高級ホテル市場で閉鎖や売却が相次いでいる。中国文化観光部が公表した最新統計によると、国内の五つ星ホテル数は2019年末の約845軒から、2024年末には736軒へと減少した。減少幅は約110軒で、全体の1割強にあたる。背景には、不動産業界の不振や消費の低迷など、内需の圧迫があるとみられる。
不動産大手の資金繰り悪化が象徴的だ。2023年末には、上海の「ブルガリホテル上海」を所有していた華僑城集団(OCT)が、同ホテルを含む複数の高級物件を売却したことが中国の複数メディアで伝えられた。運営自体は継続されているが、資本面での再編が進み、投資家の姿勢が慎重化している様子がうかがえる。
一方、ホテル業界全体でも調整が広がる。中国のホテル業界動向を分析する「Houhai Data Platform」によれば、2024年には中規模以上のホテルで1000軒超が閉鎖し、約10万室が市場から姿を消した。不動産開発と一体で進められてきたホテル投資が、景気減速で見直されていることが影響している。
もっとも、高級ホテルの一斉撤退が進んでいるわけではない。欧米やアジアの主要ホテルチェーンによる計画的な撤退・破綻の動きは確認されておらず、「五つ星ホテルの20%が破綻した」といった一部のネット情報には、裏付けとなる公式統計はない。
米国務省の渡航情報をめぐっては、リスクに応じて国別に「渡航注意」レベルを付しているが、特定の国が一律に「帰国困難」とされている事実はない。こうした安全情報がSNS上で誇張されるケースもあり、事実との混同が生じやすい。
中国の高級ホテル市場は、海外ブランド誘致と不動産開発を軸に成長してきた。しかし、足元では投資回収の見通しが揺らぎ、資本の入れ替えが進む局面に入った。景気の持ち直しとともに再び拡大に転じるのか、それとも構造的な縮小に向かうのか。ホテル事業者と投資家の判断が試される局面となっている。